「タブーを破った王室批判」

「政府が抑え込もうとすればするほど、反政府デモはむしろ拡大し、、、緊急事態宣言により、デモへの超法規的な取り締まりが可能となったことで、タイ政府は本腰を入れて取り締まりに向かうとみられる
ただし、それはタイ政府にとってもリスクが大きい。いわば伝家の宝刀でもある緊急事態宣言を発令したことで、タイ政府は後がなくなった

「今のタイで反政府デモ参加者の目からみて、国王は調停者になり得ない。そのため、緊急事態宣言による反政府デモの抑え込みの効果が長続きしないのであれば、プラユット首相は自らの立場を守ろうと何らかの「軟着陸」を目指すだろうが、そのきっかけすら掴むのが難しくなるだろう」

「緊急事態宣言で追いつめられたのは、反政府デモよりむしろタイ政府といえるだろう。」

以上、六辻彰二
(国際政治学者)コメント
https://twitter.com/MUTSUJI_Shoji
横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。
アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。


【バンコクにおける政治集会】
日時:10月16日(金)17時頃から(主催:人民党63)
場所:バンコクのパトゥムワン交差点(MBK及びBTSナショナルスタジアム駅近くの交差点)
※当初予定されていた、ラチャプラソン交差点(エラワン廟のある交差点)から変更となりました。
※集会場所周辺では、警察による交通規制が敷かれており、また大規模な交通渋滞等も予想されます。また政治集会予定は、急遽変更等の可能性がありますので、御注意ください。


つきましては、在留邦人及び旅行者の皆様におかれましては、不測の事態に巻き込まれることのないよう、お出かけの際には治安当局からの情報や当館ホームページ等を御参照頂くなど、最新の関連情報の入手に努めるとともに、可能な限り現場周辺には近づかず、安全確保には十分注意を払って下さい。
 
(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
電話:(66-2)207-8500、696-3000
FAX:(66-2)207-8511
所在地: 177 Witthayu Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330
(ウィタユ通り、ルンピニー警察署とMRTルンピニー駅のほぼ中間)
首都に非常事態宣言が発令 集会禁止もデモ強行、緊張高まる - NNA ASIA・タイ・政治

タイのプラユット首相は15日早朝、前日から続く反政府デモを取り締まるため、首都バンコクを対象とした非常事態宣言を発令し、5人以上の集会などを禁止した。
プラユット首相の辞任や王室改革などを求めるデモ活動を行う学生らが、14日午後から首相府周辺を占拠していたが、警察が排除し主催団体のリーダーらを相次ぎ逮捕。これに反発した団体は集会禁止を無視して15日午後からバンコク中心部で大規模なデモを強行し、緊張が高まっている。

非常事態宣言で5人以上の集会が禁止される中、バンコク中心部の商業施設「セントラル・ワールド」の前で反政府集会が強行された=15日、タイ・バンコク

タイ政府は、新型コロナウイルス対策のために3月下旬から非常事態宣言を発令し、これまで6回延長しているが、今回はそれとは別になる。

官報に告示された宣言によると、5人以上の集会または治安を悪化させる集会を禁止するほか、虚偽や事実を意図的にゆがめた情報を流布することも禁じた。宣言の責任者となったプラウィット副首相が指定すれば、施設や道路の使用なども禁止される。法的根拠は「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」で、新型コロナ対策の非常事態宣言と同じ。

学生を中心としたデモ隊は14日午後にバンコクの民主記念塔から首相府へ行進を開始し、周辺を占拠した。バンコクポストによると、約2万人が参加した。

また地元各紙によると、デモ参加者はスティダ王妃が乗った王室の車列を妨害し、独裁への抵抗を示す3本の指を突き出すジェスチャーをして現場は騒然となった。普段はドイツに滞在することが多いワチラロンコン国王は王妃らと帰国していた。

その後、集会の主催団体のリーダーの一人で、王室改革を唱えるアーノン弁護士らは15日未明まで演説を続けた。反政府集会の主催団体は主に、2014年のクーデターで発足した軍事政権の流れをくむプラユット首相の辞任のほか、憲法改正、王室改革を主張している。

地元各紙によると、警察は15日、アーノン氏や主催団体のリーダーを務める国立タマサート大学の学生ら22人を逮捕した。

しかし、逮捕を免れた別のリーダーが中心となって団体は午後4時前から、バンコク中心部のラチャプラソン交差点周辺で反政府デモを強行。一般市民や中高生も参加して「プラユットは出て行け」と声を上げ、逮捕された団体のメンバーらの釈放を求めた。配備された警察ともみ合いになる場面もあり、衝突の緊張が高まった。地元メディアは1万人以上が参加したと伝えている。

■デモの潮目が変わる

2月に解党処分となった野党「新未来党」の幹事長だったピヤブット氏は15日、ツイッターで非常事態宣言の発令について「この状況で権力を行使するのは解決策ではない。戻ることができない道にタイを進めるだけだ」と非難した。

国立キング・プラチャーティポック研究所の民主改革事務局のシティトン氏は14日、地元メディアに対して、「今回のデモには(学生団体以外にも)複数のグループが参加していた」と指摘。デモ隊の要求の優先順位について、以前は議会の解散だったが、現在はプラユット首相の辞任になっているなど、グループ間の調整が図られデモの状況が変わってきたという。ただ、反政府集会を週に4〜5回開催しても、憲法改正の手続きなどは手順を踏む必要があるため、政府側の回答を待たなければならないと分析した。

バンコクポストも15日付の論説で、「王室改革は一夜でできるわけではない」とし、反政府集会の主催団体に目標を修正する必要性を説いた。

一方、現在の親軍政政権を支持する団体「タイパクディー」のワロン氏は15日、フェイスブックで「王妃に恐怖を与えた今回のデモは取り締まる理由がある」と主張。その上で「デモは容認できない域に達しており、政府が法的に対処しなければならない。さもなければ政府は信用を失う」と述べた。

■経済界は長期化懸念

タイ工業連盟(FTI)のクリアンクライ副会長は14日、政治的紛争の激化によってタイへの海外直接投資(FDI)が減少し、経済がさらなる打撃を受けることへの懸念を示した。新型コロナの流行を受けて経済が停滞する中、これ以上のリスクを負うことはできないと主張した。

15日付バンコクポストによると、クリアンクライ氏は「反政府デモが長期化しない場合、タイは短期的な影響を受けるにとどまるが、反政府デモが暴力的になった場合、経済再生にとって悪夢になる。タイは何度も政情不安に直面してきたが、外的要因がなかったことなどから、乗り越えることができた。しかし、今回は、世界的な新型コロナの流行の影響を受けている」と述べた。

特に懸念される事項では、外国人投資家によるタイへの信頼感が低下してタイへの投資が鈍ることを挙げ、政治的紛争が暴力的になった場合は、経済の低迷が長期化すると主張。現在は新型コロナへの対応に専念すべき時期だと訴えた。

デモ参加者と警察官がもみ合いとなり、緊張感が高まる場面があった=15日、タイ・バンコク