最初、目に入ったのはCDジャケット。
Drive_me_lazy 海辺を走る車窓からのイラストデザイン。そしてDrive You Lazyというメロウなタイトル。
ポム・オートバーン......2003年タタヤンがSONY MUSIC BEC TEROであまりぱっとしないアルバムを出してた頃、同社からこのポムオートバーンがアルバムを出していました。当時のタイでは珍しいAOR的なアプローチで優しげなポップソングを歌っていた。ソレ以来の思いがけない再会となる本作。プロデュースはKoh Mr.Saxman、できたばかりの新ジャズレーベルMellow Toneからのリリース。大人の、落ち着いたJAZZYなポップミュージック、それも純タイ国産をお探しの方には注目の一枚。全10曲48分。2008年10月発売。
Koh Mr.Saxmanが新設したジャズレーベルMellow Townからのリリース。RSのロゴも記されていて同社のフォローを受けてのであれば「アイドルのRS」と表されるRSプロモーションも最近はグラミーより良い仕事をしてる? とにかく音楽を愛さなくなったら終りですからね。こういう会社は。
Drive You Lazyというタイトルと、爽やかなイラストに惹かれてのジャケ買い。もしかしたらインストアルバム?とおもいきや、全曲ポム自身がリードヴォーカルを取るジャズヴォーカルポップアルバムでした。

時折聞こえて来るサックスやクラリネットはむろんKoh Mr.Saxman。特にM-2での曲全体をリードして行く温かなクラリネットの音色は素晴らしい。
クレジットを眺めてみると思いのほかポム自身は曲作り、アレンジ、そしてキーボード演奏に参加していない模様。中ジャケットには車に乗って「Mellow Townという音楽の街にようこそ」という要旨のイラストが描かれており、そういう意味では本作はMellow Toneのスタッフ、ミュージシャンを総動員しての、同レーベルのお披露目目的要素の強いアルバムかもしれません。

pom_autobahn


とはいえ、ポム・オートバーン(写真)はれっきとしたキーボーディスト。というのも、ボク個人はつい先日、12月初旬のパーイ国際映画祭でのKoh Mr.Saxmanとのライブで彼のプレイを確認しているので。
全てタイ人で構成された5人のライブメンバーは恐らくMellow Toneの面子では無かったかと。Koh Mr.Saxman自らがヴォーカルを取るのには驚きでしたが、ポム・オートバーンもこの新譜から曲を披露してくれました(しかし!気温10度くらいの山奥のパイではメロウな響きも寒さにかき消されてしまう!! 少しでも激しい曲を!と強く想った次第w)。ポムのキーボード演奏はよくあるタイ人プレーヤーとは違う、センスに溢れた音色でプレイもなかなかの腕前でした。
くしくもKoh Mr.Saxmanが参加したUnit Asiaのチェンマイ公演で「タイには(良い)POPキーボーディストが居ない」と評したばかりですが、"その人"がここに居た、と早速改めてみる必要があるかも。

新譜発売直後ということもあり、2009年チェンマイ・ターペー門でのカウントダウンイベントにもブッキングされているポム・オートバーン。(チェンマイの冬は寒いから少しでもリズムのあるハードナンバーやってね!)。
今後もタイ各地で彼のパフォーマンスを見られる機会があるでしょうか。

アルバム全体はよく練られた曲が揃っており、ピアノを初め生楽器の録音クオリティも高く、キーボードの音色センスも良いです。耳当たりの良さで語学勉強時のBGMにすることも多く、ふと気づけばiTunesの再生回数も20回を越え……案外このアルバムを聴くと2008年暮れのタイを思い出す、そんな個人的なアルバムになるかもしれません。

大人の、落ち着いたJAZZYなポップミュージックを探している方には文句なくオススメできる1枚。タイポップやロックにももっと頑張ってもらわないと。