写真はチェンマイのお隣の県、ランプーン工業団地の東地区で撮影したもの。このへんの雰囲気はサンカムペーンに似ている風景。
既に野焼きは当然のことのように始まっていましたが、何と言うか、煙が沈殿している、空気が止まっている……ハッキリと目でも分かるのに、それでも野焼きは止む事は無い。
山火事のような野焼き風景が今年も続くのか? 昨年3月のように大規模な煙害がチェンマイを襲うのか? 今年は明確な対策は立てられるのか? 
沈殿する煙

参考記事:
ハイシーズンは「灰シーズン」で終わった

2006年から07年にかけての観光ハイシーズン、チェンマイは活気づいてました!

最大の懸案だった11月からの「花博」が想像以上の成果を挙げ、「国際」とは名ばかりの内容と揶揄され乍ら、全国から押しかけたタイ人団体客。チェンマイ市内はエコノミーホテルの前まで2階建バスが占拠という空前の「花博特需」に沸き、チェンライ、メーサーイなどタイ北部の観光地も大いに賑わいました。そんな万々歳のシーズンが終わろうとしていた3月にチェンマイを襲ったのが「煙害」でした。

町全体が白いもやで覆われ、見通しが悪くなり、目や咽に痛みも。子供や病気の人は外出しないよう通達が出される異常事態。この煙害はチェンマイだけでなく、チェンライ、メーホーンソンのタイ北部も同様で「チェンマイ、煙害悪化」のニュースは瞬く間に広がり、NHK海外安全情報でも注意が促されるように。緊急対策で空軍機による人工降雨剤散布で雨が降り、幾分改善されたものの、暑さの増してくる時期に大気汚染が重なる最悪の状況でチェンマイ人気は一気に下降……

実はチェンマイの大気の悪さは今に始まったことではありません。増え続ける車、市内の渋滞、至る所での道路工事、その現場から舞い上がる粉塵。少々の汚れなら雨が洗い流してくれるものの、雨のない乾季は逃げ道がない。筆者もチェンマイに住み始めた頃は「乾季が天気も良く空気も澄んで」と勝手なイメージを持っていましたが、実際はかき入れ時であるハイシーズンが一番空気が悪くなる状況が続いていたのです。

今回の煙害の最大の要因は「野焼き」。
1月から2月、毎日夕方になれば市内のあちこちから煙が立ち上がり、風がなく盆地のチェンマイに煙が充満。野焼きは列記とした法律違反なのに燃やす人が後を絶たない。これは既に「教育問題」の領域、住民の認識を根本的に変えなければいつまでも続くことでしょう。

2年前のピン川氾濫で「洪水の町・チェンマイ」というレッテルを貼られ、今度は「煙害の町」の悪評。今回の騒動を契機に、より強硬な行政指導、環境教育が望まれます。でなければ、観光都市・チェンマイに未来は無いでしょう。

(文・匠武士 Gダイアリー/2007年6月号 掲載)