2007年最後のタイポップCDレビュー大御所バード・トンチャイの最新譜を。
birdバードのCDを買うのは特大級ヒット♪フェーンジャーなどが入った「チュット・ラップ・ケープ」(2003)以来。
ベスト版やVCDも含めればディスコグラフィーは100枚? そんな長いキャリアと、今でもスーパースターであり続ける彼の今をさぐることができるか? (全10曲42分/2007年11月発売)。
タイに来くれば誰でも国民的歌手として真っ先にバードのことは知るでしょうし、ボクもご多分に漏れずそうやってトンチャイの存在を知り、最初に購入したのが「スマイルクラブ」というアルバムでした。
このアルバム、完成された彼の歌声はともかく、バックのオケのチープさには閉口し、オケの弱さといえば当時No.1の人気を誇ったニコルについても同じでしたね。タイポップ全体のクオリティがその辺りだったとも言えるでしょう。日本ならハイ・アマチュアの自宅録音でもこの程度の音作るのでは?(あくまでも『音質』の話ですので誤解なさらぬよう)当時はそう思いましたね。

そんな時代から5年以上経過して……バックの音もアレンジも飛躍的に良くなりました。そしてますます冴え渡るトンチャイの声。

この声の魅力、という点では、例えば日本なら井上陽水でしょうか。歌を上手くなることはできても、声は天性のモノ。
タイで声の良さといえば、マリワナのカターウット・トンタイもボクがタイ屈指と感じている人。
これに対し声の持つ強さ、という点なら、その代表格がエート・カラバオではないかと。エートは決して良い声とは想わないのですが、ボディスラムのヒット作・Believeでトゥーンとデュエットした作品があって、何というか歌の上手さというより圧倒的な声の存在感を魅せつけて、完全にトゥーンを食っていましたね。あれは本当に驚きました。さすがに年季が違うと。
同じプアチーウィットではポンシット・カンピーも忘れられないですね。若い頃のナイフのような切れ味はないかもしれませんが、チェンマイで見たライブ、声の説得力は忘れられない
ちなみにカンピーもエートカラバオも最新のボディスラムライブVCDで歌声は確認できます。

横道にそれましたw
何が申し上げたいか。それは本当にバードは声が素晴らしい。そして歌の表現力が素晴らしい。もうこれは圧倒的なレベルです。
個人的にはバードにはインパクトのような大会場でなくて、本当に小さな小屋で数百名を相手にちょっとジャズテイストのライブなんかやったら凄いでしょうね。

彼の踊りもむろん魅力だけど、彼の声の魅力、歌の表現力の凄さを聞くには一番かと。惚れ惚れすると思いますよ……歌っていいなあ、って。