気に入らないのはEギターの音だけ
taxiのゴップのソロタイロックの良心、遅咲きの、聞かせる歌を持つタイでは数少ない大人のロックバンドTAXI(タクシー)
そのヴォーカル&ギターであるゴップが(結果的にひっそりと?)発表した初ソロアルバム。
なかなか評価が定まらないまま時間だけ経過、お陰で相当聞き込んでのレビュー、お粗末さまです。2007年2月発売・全10曲40分。

最初にアルバムを聞いた時の違和感はエレキ・ギターの音作り
結論としてはそれだけが気になる、気に入らない(あくまでも個人的見解)。

タイで言えばBIG ASSとかエボラとか、新人だとレトロスペクト(Retrospect)らの音作り。ハードコア系あるいはエモ系ギター?(専門外ロックなので)。
ギターの弦を6本全部まとめてガーン!と鳴らしてこれでどうじゃ!みたいな……こうなるとギターが「単なる一音源」に成り下がってしまう感覚があるのです。
ギターはギタリストの、その弾き手の細かい弾き方のニュアンスが伝えられる楽器なのですね、だからジミヘンが凄い訳だし。それはアクロバチックな速弾きとは別次元で。そうやってスピリットやソウル(魂)を伝えられる、そんな風にボクは想って育って来たわけで。
それを、みんな今時のデジタルエフェクター通しちゃうと(近頃はギターアンプさえ要らなかったりします)全部、画一化。つい先日テレビでリンキンパークの最新ライブ(幕張メッセ・Live Earth)見たんですけど、ああいうギターの音の出し方ってボクには別世界ですね。ガーンと一発の音しか残らない。ちなみにリンキン使用のギターはタイで一番メジャーなポール・リード・スミスというブランド物ですが、ゴップの(今回のジャケにも写っている)ギターも同じポール・リード・スミスです。

※こういうギターの画一的な音作りを聞いてるとホントにセーク・ローソーがトラディショナル・ロック最後の砦というか、そんな想いを強くするのです。

もともとTaxiの音作りはゴップともう一人のギタリスト・ペェムのギターコンビネーションから作られます。ここでオーソドックスな音を出しているのはペェムの方で(ライブを見ると分かるんですが)実はゴップはかなりハードな、今時な音作りをします。
今回のアルバムは、そんなハードな音作りを「若いバンドマンを従えて思う存分やった」というのが実態でしょうか?
でも、パーン・ナカリン・キンサックが2004年に出したグラミーの作品がそうだったんですよね、若いバンドを後ろに従えて。ライブ見に行って幻滅した覚えがありますw、「流行に合わせたって無理あるよ、アンタにはアンタの良さがあるじゃない……」と。

結論はエレキ・ギターの音作りが気になる、気に入らない、それだけ。
でも今作の内容はいつものゴップの歌声たっぷり。いつものtaxi節をどうぞ、って感じです。

また最初と終わりに「扉を開ける」SEが入っているのですが、これは「Taxiの世界を出て1枚作った。そしてまたTaxiの世界に戻っていく」……そういう意味に解釈したのですが、いかがでしょうか。
ボクはやっぱりあのTaxiというバンドのフロントマンとしてのゴップを見たいですね。

最後に、今回のアルバムの代表曲として、アルバム2曲目のマイ・サバーイをYou Tubeより。
これは従来のタクシー節、ギターの音作りさえ除けばw


<関連記事・資料>
・タクシー・オリジナルアルバム全5枚ディスコグラフィー
TAXI discography /タイのロックな良心、TAXIをご紹介

・タクシー最新ライブレポート
2006年12月2日土曜日、エアポートプラザ駐車場特設ステージ