タイロックの良心。染み込んで来るようなコンサートの上手さ。
何度もタイでLIVEを体験してくると当然新鮮味も徐々に薄れ、要求するハードルも高くなります。でも、それにしても近頃のタイでのコンサートの質は高くなっているか?と言えば疑問符が付くことが多くなったように想います。
クリックを多用した計算されたパッケージSHOWとでも言うか、あるいはその時一瞬だけ燃え尽きるようなスポーツ的感覚というか。それよりもボクが期待するのは、何かそのアーティストの息づかい、そして観客との(馬鹿騒ぎではない)音楽を通しての対話というのが欲しいと想うのです。
fulltaxi
TAXI、特にヴォーカルのゴップの姿を見ていると、本当にプロフェッショナルだなあと。観客を楽しませ、リラックスさせ、しっかりサービスしてくれる。下積みが長かったからでしょうね。そういう人間的な暖かさがTAXIのライブ演奏にはあります。

ドラマーがクリックに合わせて終始一貫、毎回同じの営業演奏をするのとは違う、そのヒトが演奏する、指使いやアタック感から、その各楽器から、歌から聞こえてくる息吹きみたいなもの。

本当にタクシーは良いバンドだなあ、しみじみ想いました。

タイロックの良心。
この人たちの上手さっていうのは、見掛けのスマートさとか、やたらと観客を煽るとか、超速弾きのギターとか、そういう表向きのテクニック的なモノじゃなくて、じわじわ染み込んでくるような……いやホント上手いんですよ、彼ら。そういうのがホントの上手さなんですよ、楽器は感情あるヒトが弾くものですから。

ヴォーカルのゴップもギターで重要なパートを弾いていて、彼の方が派手で暴れん坊なギターですね。
それに対し舞台下手のG.ペェムはそれをさり気なくサポートしていく。アンプから出る音がホントに良い。こんなギタリスト、タイには居ないなあ。暖ったかくて謙虚で、ソウルフルでロックなギタリスト。最新ヒット(去年ですけど)♪ラックタウ・コンディウではサブヴォーカルを堂々と歌い上げ、これが良いんです! 味があって。
やっぱり歌が上手いギタリストは良いギターを弾く、これボクの持論w。

予想通りベースはサポートメンバー。今やアサニーワサンやファーレンヘイトに参加するようになったエークは欠席(もしかしたらMore Music所属になったのかなエーク)。でもそのエークの穴を必要十分に埋めてました。エークが居るとレッチリ色がやたら強くなるので、現状でも悪くないかもw。TAXIとレッチリはカラー違いますから。

kob

持ち歌以外では1曲だけTIK SHIROの♪ラックマイヨーム〜やったんですけど、TAXIがやると完全にネタになってて、とてもリラックスして聞けました。メンバーも楽しんでましたし。最後のゴップのファルセット歌い上げには大笑い。数日前に見たSo Coolは同じ曲でもマジでやりますから。ネタとマジは大違い。

1時間の予定を20分延長してやってくれて、野外で開放的で、久々「タイに住んで、こんなコンサート見られて幸せだなあ」としみじみ想いました。ローンハイです。逆に言えば、それくらい良いコンサートに出会えなくなって来たのかなあ、とも。
今回は異例のライブリポでしたけど、良いコンサートには理屈なんて必要ないですよね。

素敵な夜をありがとう、TAXI!

*2006年12月2日土曜日、エアポートプラザ駐車場特設ステージにて22:40-24:00

関連記事:
TAXI discography /タイのロックな良心、TAXIをご紹介
http://www.taideomou.com/archives/50181102.html