事故の瞬間を見た!
ボクは店で食事をしていました。車の行き交う店の前をぼんやり眺めていると、男が現れ、道路を渡ろうと前に出ました。ちょっと出過ぎたかと思ったのか彼は一旦後戻りすると、走ってきたバイクが彼に接触、ドタンと大きな音とともに、その場でバイクが転倒しました。
店内の客は皆総立ちでその様子を見ます。ボクも立ち上がって見ます。うずくまったままで動きのないバイク男。接触した彼はあっけにとられたままで何もしようとしない。彼には何の外傷も無かったです。
おそらく1分ほどそのままの時間が流れました。彼はうずくまったバイク男に一切近寄ろうとしませんでした。ようやく倒れたバイク男に駆け寄ったのは周りに居た人でした。ボクが居た店内の人も誰一人、道を渡って行こうとはしませんでした。
彼は終止、苦笑いというか照れ笑いのような笑顔を浮かべていました。気の良いおじさんといった風情。高圧的な雰囲気は皆無です。しかし、ただ彼は何をすることも無く、ひたすら笑顔でした。彼は大勢家族を連れてきていて、その家族にも苦笑いで「バイクが勝手にぶつかって来て」みたいなことを伝えているように見えました。
バイク男は周りの人に支えられようやく立ち上がり、彼に対峙しました。怒っているようです。周りにも野次馬が出てきて、間に入ります。彼はその野次馬には説明してもバイク男には話そうとはしなかった(ように見えました)。
バイク男はそのままバイクにまたがって走って行きました。その程度の傷だったかもしれませんが、あの倒れっぷりでは相当身体が痛いハズ(ボクも日本でスクーターで転んだ経験があるので)。検査してもらった方が良いでしょう。

ボクが一番驚いたというか、ある意味ショックだったのはあの「気の良い風体」の彼の行動。彼は「道に一旦出過ぎた」ことは絶対に自覚していました。だから接触したのです。

それはボクがはっきり見たから言えます。仮にそういう気持ちが無かったとしても、自分に接触したバイク男がその場で大きく倒れて、路上で動かないで居る、路上は車の往来が激しい。とにかく道の端に、とりあえず安全な場所にバイク男を動かす、それが「とっさの自然な行動」ではないでしょうか。彼はそれを一切しませんでした。
ボクは彼が終止浮かべていたあの笑みが忘れられません。家族を引き連れて何事もなかったかのように店の中に入って注文をする男。

「微笑みの国」で見た、もうひとつの「微笑み」。忘れないようにしようと想いました。

そして、交通事故。これは本当に気をつけなければいけません。最近身の回りで事故に巻き込まれた日本人が目立っています。
タイにお住まいの方は本当にお気をつけ下さい!