エボラ(FATフェスにも出演予定の)最新エボラ解釈
インディーズ時代から既に10年選手、タイハードコア界の王者・エボラのメジャー第2弾。
録音に関しては今時の(歪みを波形で管理する)ギター録音で音質・演奏とも洋邦楽にも劣らず、その点では安心設計の一枚。要は肝心の「音楽性」についてになる。
個人的にはEBOLAに関しては以前のスタジオ盤は殆ど聞き流す程度。重くまとわり付くような絶叫が聞く者を排他する、文字通りコアな音だった。
そしてこの3月にPATTAYAフェスで初めて彼らを観た。EBOLAは最終日トリに相応しい一糸乱れぬストイックでハードなステージを披露。デスメタルなんて……そんな偏見を吹き飛ばす肉体的鍛錬に基づいた演奏技術の高さに目を見張った(ただドカドカ、ガンガン鳴らしているワケではないのだ)。また暴走気味の観客を終始コントロールする冷静さも備えていて、そこにはまさにプロフェッショナルなEBOLAが居た。
そんなプロフェッショナルな彼らがメジャーに移籍してからの回答が、前作から引き継いだこの「路線」だった。曲によってはbodyslam?と聞き間違えそうな明快さ。デス声では鬼気迫る迫力を持つヴォーカル(AEY)も、普通の発声だと何だかそこら辺に居る小柄な日本の兄ちゃんみたいだ(実際AEYのLOOKSもそう)。「BIG ASSやシリーは初期のファンとメジャーになってからのファンの大きな隔たりはないが、EBOLAはそのギャップが激しい」とはバロン・フォン・ラシク氏(Gダイ)の評。それだけガッカリしたファンは多かったワケだ。そういう「前歴」を踏まえたうえで聞く彼らの音楽は様々な意味合いをもたらす。
いずれにせよ、もうEBOLAは「選択」してしまった。正真正銘のタイ随一の実力派・EBOLAの今後を、ボクはじっと見詰めて行くだけだ。