5fc74c9c.jpg昨年デビューし、歌詞にチェンマイなまりをブレンドした絶妙なコンセプトで大ヒットを記録。
5月のタイフェスティバルではカラバオとともに来日、日本での知名度も高めたランナーカミンの2ndアルバム。

1stの親しみやすく素朴でアコーステイックな響きを継続しつつも、
冒頭の2曲ではヒップホップやブラックミュージックの要素を取り入れたアレンジで新しい一面もアピール。全10曲、37分。
M-2にはMAFの日本人DJマーがAdditionalアレンジで参加している。

ランナー期待の新譜はアルバムタイトルともなっているyin-dee-pee-ra-gaaで幕を開ける。
タイのアルバムは全般的に1曲目に最高の出来の曲を持ってくる場合が多々だが(1曲目だけが良いという弊害も?)このアルバムでもこのM-1が一番練られた曲かと想われる。
CではなくBメロが最大の聞かせ所、というのがミソ。徐々に盛り上がるドラマチックな構成、オリエンタルな響きに西洋的なラップの融合。
ピーラガーとは「酉年」のこと。「酉年万歳」?そんな意味?

なぜ同タイプの曲を続けたのかは?だが、
M-2.What I amを最初聞いたとき、チャイナドールズBWのタイトル曲を想い出した。
サンプリングSEを散りばめ、グルーヴィな曲調...といえば聞こえは良いが、M-1との最大の差はBメロがCへの繋ぎでしかない所かと想う。ブレイクのあと始まる字余りぎみのCメロ(大サビ)も弱く聞こえ、それが「タイ式R&Bの類型」に陥って、「ま新しさ」が生まれてないようにも。ただし「類型」だから受け入れられる、ヒットするという側面もあるだろう。間奏のラップはコラボレーションというより「乱入」だろうか?
いろんな意味で勉強させられる曲。
参考:A-B-Cに辟易 T-POPの曲構成

M-6.Mai-pen-rai
折り返し、アナログLPならB面1曲目(そんな表現する人、もう居ないよなあ...)。このアルバムのベストトラックのひとつ。聞き手(観客)に語りかけるようなランナーの姿が浮かぶ。
こういう歌唱力ではランナーは新人の中では頭ひとつ抜けている。彼女の武器だろう。
歌詞の詳細は分からないけど、「大丈夫よ、元気を出して」みたいな歌かな?
この次のM-7.That's all I'm asking forとあいまって、アコースティックな響きがランナーの世界へいざなう。Liveで、生ギターと歌だけのアンプラグドコーナーを作って欲しい、そう想うのはボクだけだろうか。

M-9のNever Againではアルバム唯一のハードな曲を。タイフェスでもsillyやBIG ASSをガンガン歌っていただが、本人もリンキンパークなど大好きらしい。
ランナーはアルトだから、声を張り上げたハードな曲よりも「聞かせる」タイプの曲の方が説得力が増す。隠し味として、こういうハードなのも用意しておくとステージングの幅は広がるだろうが、落とし所はやっぱりアコスーティックだと想いますよ、ランナーは。
もしかしたら流行りのAvril Lavigne流?なのかな。

ラストM-10のTABU。タイトルは鮮烈でもメロディ、フレーズとも留まらず、流れてしまう感じ。エピローグとしてアルバムラストを意識した曲だろうが、いっそM-2やM-9で派手に終わらせても良かったのでは?
lannaM150よくデビューAlbumはベストAlbumと言われるが、1stの「発想と濃密さ」を超えることは出来なかったかもしれないが、ランナーが他のタイ女性シンガーと一線を画するポジション、実力を持った逸材であることを証明させるには十分の2ndアルバム。

これを武器に2005、どのようなステージングでランナーはLive展開をしていくのか?

やっぱりシリーとか歌っちゃうの? 止めて欲しいなあ、オリジナルで良い曲いっぱいいあるのに。
*写真は内ジャケットのM-150の広告。このセンスには唖然(苦笑。